「日本酒ドラマチック 進化と熱狂の時代」は、何度か紹介させていただいてる山同敦子さんの新刊です。山同敦子さんの本は読んでいるだけで、蔵に行って蔵元とお話しさせていただいているかの如く、その記述が詳細で読んでいて楽しいんです。
今回も色々な魅力的な蔵が紹介されているのですが、それだけではありません。今まで日本酒関連の書籍でも(おそらく)ほぼ取り上げられてこなかった「種麹(たねこうじ)」のメーカーである秋田今野商店さん、木桶を造る藤井製桶所、酒米と蔵との係りあいなどが取り上げられています。「種麹」通称「もやし」ですが、正直「酵母」については消化しきれないほどの情報があるのですが、この情報にお目にかかったことがありませんでした。まぁ単に私の勉強不足でしょうが(^_^; 瓶の裏ラベルに「※※号酵母」と書かれていたり蔵から発信されることはあっても、麹についての情報は無いように思います。ところが昔からの言葉で「一麹(いちこうじ)、二?(にもと )、三造り(さんつくり)」とその一番手に上がる「麹」について情報がないのは何故だろうか?と疑問に思っていました。「ひょっとして麹には酵母のように種類はなく、その使い方によってのみお酒の仕上がりに影響するのだろうか?」とも考えていたのですが、ようやく本書でそれらの疑問が晴れました(^_^) 他の日本酒好きの方でも「麹」については不明な方は見えるのではないでしょうか? そういった方にはぜひ本書を読まれることをお勧めします。
以下、目次になります。
造り手の熱狂ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
而今 スター杜氏の苦悩と成長
東洋美人 色気ある美酒が立つ「原点」
新政 伝統を未来に繋ぐクリエイター
貴 人と人を繋ぐ癒やしの米味
口万 故郷を愛するピュアな男の甘美な酒
表現したい味、理想の酒造り 若波/七本槍/宝剣/一白水成
酒の「進化」を追うーーーーーーーーーーーーーーー
磯自慢に見る酒造り進化形
秋田今野商店に聞く「種麹」の物語
酒米ドラマチック 極上の酒を生む、米の話
「酒米の王様」山田錦を求めて(日高見ほか)/酒は田んぼから生まれる(天の戸)
木桶をめぐる、日本酒温故知新
対談「十四代」高木顕統x「泉屋」佐藤広隆
酒造りの現在と未来を繋ぐキーワード 飛露喜
巻末付録
キーワードで選ぶ日本酒ガイド
著者厳選 日本酒に情熱を傾ける酒販店リスト
今までに読んだ山同敦子さんの本として、以下の物があります。いずれも日本酒好きには楽しめる内容です(^_^)
山同さんの著者は単なる日本酒ムックとは違い、長年の酒蔵との信頼関係に基づいて、その内容がすごく掘り下げられているんです。日本酒はもちろん飲んで楽しむ、味わうものですが造り手の思いや、さまざまな背景を知るとますます、その味わいが深くなると思います。
まぁ自分自身が蔵に行ってお近づきになれるのが一番なのですが、そうなれる蔵は限られています。それでもいくつかの蔵とは親しくさせていただけているのは幸せなことだと感謝!しています。
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