山同 敦子さんの新刊「日本酒の人 仕事と人生」を読ませていただきました。表紙の帯には「今宵の一献が心に沁みる、熱き杜氏たちのドラマ」とあります。読み終えて、まさしくその通りだと実感しました。山同 敦子さんの著書はこれまでも読ませていただきましたが、その素晴らしさは臨場感にあると思います。山同さんの文章を通して、自分自身も取材先の蔵に訪れて、蔵の方とお話しさせていただいている、そう感じるほどです。
日本酒の人 仕事と人生 [ 山同敦子 ]
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今回、紹介されている蔵と蔵人は以下の通りです。(各章の初めに蔵の方の言葉が載っているので、引用させていただきます。)
・飛露喜 廣木 健司
「恵まれた出会いがあったからこそ、
そこで出会えた人たちに恥ずかしくない酒造りがしたい。
恥ずかしくない人生にしたい。」
・天青 五十嵐 哲朗
「昔の杜氏は失敗しないことが、蔵元から与えられた命題だった。
いまのうちの蔵の空気感は、『失敗したら自分でリカバリーしろよ』なので、
失敗を恐れる必要はない。おかげで遊び心も生かせます。」
・白隠正宗 高嶋 一考
「海外の料理と日本酒のペアリングを考えるより、
日本各地の伝統的な食べ物と日本酒を燗で楽しむ文化を発信する方が、
グローバルだと思うんです。」
・若波 今村 友香 + 庄司 隆宏
「変えることにはリスクを伴う。でも留まることは退化です。
好奇心を持って変えていくことで、新しい芽生えがある。
落ち込むことがあっても、信念を持って待てば、必ずタイミングが来る。
ピンチはストーリーになるんです。」
・天の戸 森谷 康市
「理屈から入るんでなく、体で覚えて、
熟練しなければできない仕事がある。
根気よく続けてないと見えない景色がある」
おそらく、「天青」以外は飲んだことがある銘柄です。以前いただいた際に「う~ん、いいお酒なんだけど、ちょっと好みとは違うかなぁ。」と感じていたお酒でも山同さんの文章を読むと改めて飲みたくなるから不思議なものです。今回、その代表的な例として「飛露喜」の特別純米がありました。以前に、今回の本でも話に出ている特別純米を頂いたことがあったのですが、その時の印象は「ちょっと、きれいすぎるかな?」という印象でした。「きれいなお酒」よりも「旨味、味のあるお酒」を求める私としては、やや低い評価だったので、その後特に「飛露喜」をウォッチしていませんでした。ところが、今回の「日本酒の人 仕事と人生」を読んで、山同さんの文章から想像される「味わい」と、以前の印象にズレがあるように感じ、無性に飲みたくなりました。そんな私にお酒の神様が微笑んでくれたのです。愛妻と久しぶりに行った日本酒の充実した店に行くと、そこには「飛露喜 特別純米」が待ってくれていたのです(^_^)もちろん、いの一番に注文しました。
グラスに注がれるや否や、口元に運びます。すると、そこには山同さんの文章から感じられた濃潤な旨みが広がっていきました。「そうか、これが飛露喜の味か!」またまた、私のお気に入りのお酒のリストに、一つ銘柄が増えてしまいました(^_^)
各蔵での詳細なエピソードはネタバレになるので書きませんが、最近の傾向である「蔵元杜氏」、「雇用された社員杜氏」、「蔵元杜氏+アルファ」、「昔ながらの?杜氏」とパターンがバリエーションにも富んでいて読みごたえがありました。
そして巻末には、「日本酒入門」として日本酒に関する用語が解説されていて、勉強になります。長年、日本酒に親しんできてそれなりに知識があるつもりでも、そこはやはり素人なんですね、改めて読むと理解が浅かったり、あやふやだったことに気づかせてもらいました。
このブログを読まれて、山同さんの本に興味を持たれたら、ぜひ実際に手を取って読んでみてください。きっと日本酒の理解と愛着が深まるかと思います。
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